元カレ教師


自分の都合で、教師の顔と昴の顔を使いわけるから。


そんなの狡い。


「そうでしょ?」


あたしは強気に言った。


「そうだよな。」


「だから、あたしは恋を終わりにするんです。
ずっと続いていた恋を。」


あたしの青春のほとんどを支配していた、戸籍の上では1人の男への恋を。


「悪かった。」


「北条先生は何も悪くないです。」


あたしは嘘をついた。


十分に貴方が悪い。


…貴方?


否、君?


君かな。


君は悪いよ。


ただ


「悪いのはあたしです。」


北条昴を、北条先生を愛したあたしが悪い。


もし好きにならなかったら、こんな事にはなってなかった。


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