依存ごっこ
出会い~ガラムの香り~
知人宅で行われた小さなホームパーティー。

無数の針を体中に貼り付けたような ちょっと殺気立ったような 異様なオーラと、

甘ったるい香りをまとい彼は現れた。

「どーも」 と気だるそうな感じの挨拶をした彼は、私の横に腰をかけた。

彼から発せられる 何か異常なまでものバリアを察知した私は、

この人にはあまり関わらないでおこうと思った。

とにかく直感的にそう思ったのだ。

そんな事を思っている私を見て きっと、

つまらなそうにしてるヤツだなと感じだんだろう。

他の人の話を聞いてうなずいてる私をみては 「ほんと興味なさそうだな」 と度々毒づくのだ。

正直イラついた。

いつも周囲を観察ばかりしている私が 逆に他人に観察され続けていたことに腹立ったんだろうと思う。



ある瞬間から、彼が私に対して突然バリアを一枚剥がした。

彼の甘ったるい香りの原因は、吸っているタバコ「ガラム」のせいだったんだけれど、

私と同じ愛煙家だったのだ。

禁煙の部屋なのでタバコを吸おうと外に出た私に、彼もついてきた。

先程とは打って変わって、柔らかな穏やかなオーラに変わっていた。

彼が私から何を感じ取ったのかは定かではないが、

警戒心を解いてくれた様子だった。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop