向日葵の下で
■入院生活

現状

「佐々木さん!」



自分の部屋を整理していたところ、急に鈴木さんが部屋に入ってきたから私はビックリした。



「どうしたの?」


「どうしたの、じゃないよ!ITSUKIさんの担当になったってこと、何で教えてくれなかったの?メールでも電話でもしてくれればよかったのに!」


そういえばそうだった…。



「ごめん、いろいろあって、忘れてた…」


鈴木さんは部屋の中をぐるりと見渡した。

まだ片付いていないので、物が散乱して…はっきり言って汚いと自分でも思う。


「…まあ、これじゃあね…」

「いやあ、お恥ずかしい」

「佐々木さん、片付け下手でしょ」

「うるさいなあ」






鈴木さんは私に沢山の情報をくれた。



先ほど、病院側と『SHANGRI-LA』が記者会見を某ホテルでしたらしい。


院長はさっきまでの病院でのパニックを謝罪し、雪村さんを他の病院に搬送したと偽った。

これで明日から病院でパニックになることはないだろう。



『SHANGRI-LA』からは事故についての謝罪と残るライヴの中止の謝罪、チケットの払い戻しの説明がされた。

『SHANGRI-LA』はツアー中で、あと1公演が残っていたらしい。

ちなみに鈴木さんはそれを見にいく予定だったとか。



雪村さんについては足の骨折のことだけ話された。記憶喪失については公表しなかった。


「そっか…」


「うん、でも、本当のこと全部言ったら、それこそ日本中大混乱になっちゃうから、しょうがないよね」


鈴木さんは、今でも十分大混乱だけど、と呟いた。


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