平和祈念作品集
 と、2人の前に、黒サソリが現れた。

 黒サソリ自体はこの地方では珍しくはないのだが、体長が3mほどある。

「シライアス様、危ない!」

 ルーイは、とっさに印を結んだ。

「赤き炎よ、その力をもって、我が敵を焦がし尽くせ!シャレローラル!」

 黒サソリは、炎に包まれた。が、それだけで死ぬほど、体の鎧は柔ではなさそうだ。

「こいつは、手強そうだな。ルーイの魔法で死なないとは」

 シライアスは、腰の剣を抜き、黒サソリの眉間を狙った。が、鋏に阻まれて、狙うことができない。

「動きを止めないと、ダメか」

 シライアスは、剣を黒サソリに向けて、呪文を唱えた。

「白き氷よ、凍てつく刃となりて、我が敵の動きを止めよ!ヒャングーソ!」

 剣から、冷気が出てきた。冷気は、黒サソリを取り囲んだかと思うと、一瞬のうちに氷となって、黒サソリの鋏と足を凍らせた。

「はっ!」

 シライアスが黒サソリの眉間に剣を突き刺すと、黒サソリは悲鳴を上げて、息絶えた。

「…さすが、シライアス様」

 剣を柄に戻したシライアスに、ルーイが声をかけた。が、シライアスは、答えなかった。

「…シライアス様…?」

 シライアスは、黒サソリの方を見ていた。

「やはり…」

 ルーイは、黒サソリを見た。息絶えたはずのサソリの体内から、黒いオーラが出ているのを感じた。

「まさか、これは…!?」

 シライアスは、首にかけていたペンダントを取り出した。

 ペンダントを空高く投げると、それは、2人が乗れるだけの、車のような乗り物に変化した。パドゥー星の乗り物である、エア・カーだ。

「ルーイ、星都に戻るぞ!」

「は、…はい!」

 ルーイは、もう一度、黒サソリを見た。黒いオーラは、あの黒い星へと帰って行くように見えた。

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