『契約』恋愛

やっぱり『契約』恋愛なんてするんじゃなかった。半端な気持ちはツラい、そんなのよくわかってたはずなのに。

ポタリポタリと涙がスカートにしみを作っていく。けどどうしても、涙は止まってくれなくて。

今なら、風春がモテる理由がよくわかる。ただカッコいいとか、頭がいいとかだけじゃないんだよね。

例え本気の恋をしなくとも、
どんなに短い時間であろうとも、
その間風春はちゃんと相手と向き合ってくれる。
確かに手を出すのは早いし、一人の人と長くつきあったりはできないのかもしれないけれど。

少なくとも風春が、ちゃんと私を見てくれていたっていうのもまた事実。

――だって彼は。
唯一、私の闇に気づいてくれた人だから。
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