『契約』恋愛

side:/ YUKINO


「雪乃っ!」


学校からの帰り道、分岐点で凛と別れ、一人で家に向かっていた私の耳に届いた声。
聞き慣れた声に、声の主が誰かなんて容易に想像できる。

一呼吸あけて振り向けば、予想を裏切らない人物が膝に手をつき、肩で大きく息をしている姿が目に映った。

四日ぶりに話す、彼。
私の“元”契約彼氏。


「……何?」


今更私に声をかけてくるなんて何の用?
私たちの関係は、もう終わったも同然だというのに。私が冷たくそう尋ねると、風春は姿勢を正し、真剣な表情で口を開いた。


「…雪乃、ごめん。」


そして何故か、紡がれたのは私への謝罪の言葉で。言葉とともに下げられた頭に、私の理解が追いつかない。
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