十五の妄影(もうえい)
佐奈さんは、僕が学校でどういう立場に置かれているのかを知っている。

その上で親身になって話を聞いてくれる、唯一の理解者だった。

学校にも家にも味方のいない僕にとって、たった一人の友達といってもいい。

「相変わらず無視されてるの?」

「……」

ベッドに腰掛け、僕は声を出さずに頷く。

裸足の理由は訊かなかった。

靴に土を入れられる嫌がらせの事は、以前に佐奈さんに話していた。

「ん~…」

ギシッ、と椅子の背もたれに体を預け、佐奈さんは足を組み替える。

タイトミニから伸びた足は、とても綺麗だった。

「晋作君は少し生真面目すぎるのかもね」

「生真面目…?」

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