十五の妄影(もうえい)
その時だった。

「!」

校庭を踏みしめる足音。

その足音に思わず振り向く。

…目の前に現れたその人物に、僕は驚愕した。

「晋作君…」

「佐奈さん…」

それは紛れもなく佐奈さんだった。

いじめられ、拒絶され、孤立する毎日の中で、唯一僕を許容してくれた人。

こんな僕の存在を認めてくれた人。

妄影が現れる前の僕の、唯一の味方だった人。

佐奈さんが、僕の目の前に立っていた。

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