十五の妄影(もうえい)
堰を切ったように泣き出す晋作君。

私はそんな彼を胸で受け止める。

「大丈夫だよ…学校だけが全てじゃないもの…教室にいる人間だけがこの世の中の全てじゃないの…何度でもやり直しはきくの…」

必死に励まそうと、私はそんな言葉を投げかける。

それに対して。

「もう…遅いよっ…」

嗚咽に声を詰まらせながら、晋作君はくぐもった声で言った。

…可哀相。

もう今の状況だけで、自分の人生の終わりくらいの気になってしまっているのね…。

「遅くないわ…」

私は胸に顔を埋める晋作君を引き離し、その唇を重ねた。

「遅くない…何度でもやり直しはきくんだよ…君の人生はまだリセットがきくの…やり直そう。私も手伝ってあげるから…」

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