Je t'aime?



「ウジェーヌは、どこか見たい場所ある?」



「ん~…」



ウジェーヌは、パラパラと本をめくって悩んでいる。



その早さから、どうも写真だけをチェックしているようだ。



しばらく黙っていたけど、あるページにきて、ピタッとページをめくる指が止まった。



そして、なにかに驚いたように、口を「お」の形に開けた。



「ここ。ここに行きたい」



興奮気味に言われて、私たちは顔を見合わせた。



ガミくんが、ウジェーヌのほうを向いていた本を自分のほうに向けて、



「どれどれ」



と、ウジェーヌが指差した写真を見る。



私と紗江子も、横から覗き込んだ。



ウジェーヌの白くて長い指の先には、いかにも外国にありそうな、かわいらしい建物の写真。



その写真の下に、これまた外国のアニメにありそうな猫のイラストが添えられている。



どうも、そのキャラクターの美術館のようだ。




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