Je t'aime?
それでも、
「大丈夫です。すぐ行きます」
と、ウジェーヌが慌てて言うと、お姉さんは笑顔になって、
「あ、いいのよ。この展示スペースは人が少ないから、ゆっくりしててくださいね」
と、言って、受付に戻っていった。
お姉さんの姿が見えなくなると、私は横目でウジェーヌを見て、
「…あのお姉さん、絶対ウジェーヌだから許してくれたんだよね…」
と言った。
だって視線はずっとウジェーヌのほうだったし、間違いない。
今頃、受付仲間と小声で、
「イケメン外国人~」
とか言ってるに違いない。
…な~んて…。
せっかく親切なことを言ってくれたお姉さんに、私ってばなんてことを…。
自己嫌悪に陥っていると、ウジェーヌが、
「でも、やさしいのは、うれしいよね」
と、ちょっとたしなめるように言った。
「そうだよね、ごめんね」
くだらない嫉妬心。
私が素直に謝ると、ウジェーヌは黙って私の頭をポンポンとしてくれた。