Je t'aime?
水に続いてウジェーヌが、ジェルシートをくれた。
バスの中で断ったせいか、ちょっと遠慮がちに差し出されたそれを、私は今度こそ受け取った。
「…気持ちいい~。あの日倒れたウジェーヌの気持ち、わかるよ…」
首の後ろに貼ったジェルが、急ピッチで私の体を冷やそうとがんばっているのを感じる。
ウジェーヌも新しいシートに貼りかえて、
「気持ちいい~」
と言って、ソファに深く座りなおした。
それから数分、私たちは言葉も交わさず、博物館の入口に展示してあるおもちゃを眺めていた。
…気持ちよくて、眠ってしまいそう…―
そんなふうに心地よくなった頃、
「お客様、大丈夫ですか」
と、受付からお姉さんが出てきて、私たちを気遣ってくれた。
いや、そもそもこのソファは、無料展示スペースのおもちゃを見るためのもの。
だから、休憩なんてされたら迷惑よ、と言いたかったのかもしれないけど…。