Je t'aime?




待ち合わせまで、あと少し。




私たちは、またさっきの無料展示スペースのソファに座っていた。



待ち合わせ場所に行くにはまだ早いから、ちょっと休憩。



…休憩ばっかりだけど、暑いからいいの、と自分に言い訳をして。



ここは相変わらず人がいなくて、まるで私たち専用の部屋みたいだった。



珍しいものを見て、すっかり気分も良くなった私たちの周りには、とても穏やかな空気が流れている。



私は、一息ついて、隣のウジェーヌを見た。



彼は、大事そうに猫グッズの袋を抱えている。



私はそれを見て、前から気になっていたことを思い出した。



「ねえ、お姉さんと一緒に写ってた女の人、友達って言ってたけど、彼女じゃないの?」



写真を見せてもらった日以来、ずっと心の片隅で気になっていた存在。



気になるけど聞きたくなくて、意識的に話題に出さないようにしていた。



だけど、今なら受け入れられそうな気がした。



ウジェーヌは、突然なにを言い出すんだ、と言わんばかりの顔をして、私を見た。



そして、からかっているわけではないことを私の表情から読み取ると、観念したようにフッと笑って、



「そうだよ」



と言った。



「ぼくのガールフレンド。パリに住んでいるよ」




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