Je t'aime?




「あんなふうにフラァって倒れたの、初めて見てびっくりしたよ」



『たしかに、フランスは日本ほど暑くないからなぁ』



「そうなの?」



『俺、何度か出張でフランス支社に行ったけど、暑いって思った記憶がないもん』



「そっかぁ、それじゃあキツイかもね、この暑さは」



その日の夜、私はいつものようにベッドに寝転がって、祐太と電話で話した。



祐太の会社は海外にも支社がいくつかあって、彼自身、ときどき出張に行ったりしている。



そういえば半年くらい前にもパリに行ってたっけ、と思い出した。



「何度か」って言ったから、きっと私と出会う前にも行ってるのだろう。



ちょっとうらやましい。



『あ、そういえばさ、俺この間休日出勤しただろ。それで来週の金曜日…17日だったかな、代休が取れたんだ。学校終わったら、映画でも行かない?』



「ほんと?やった!行く行く。17日は終業式だから、午前中で帰れるよ。見たい映画、あったんだー」



『あれ、まじで?実は、俺も見たいのあるんだよね』



「じゃあ、二本立てにしよう!」



『はは、いいねぇ。じゃあ空けといてよ、金曜日』



「了解!」




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