手紙


それを言ったら、翼は微笑んだ。


「そう言ってくれると思ってた」


翼は、予想してたんだ。

あたしが柚縷ちゃんに会うのを拒否しないって。

会いたいってこと、言うって分かってたんだ。


今回あたしが翼とちゃんと話せたのは、手紙の理由を知って、理解できたから。

花音は近くにいるとしか言えなかったくらいだもんね。

だからケンカして、混乱して、裏切られたって思いが強かった。


花音は、柚縷ちゃんの気持ちも、あたしの気持ちも、両方しっかり考えていてくれたから、ああいう結果になったんだよね。

優しさから、なんだよね。


「明日、空けておいてくれる?一緒に柚縷に会いに行こう」

「うん!」


明日、柚縷ちゃんに会える。

久しぶりの再会、何を話すかは全く分からない。


手紙のこと?

あのあとのこと?

聞きたいことがいっぱいある。
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