手紙
「たいと?……とりあえず、ここじゃ目立つから、移動しよう?葵ちゃん」
翼くんは、優しく背中を押してくれる。
「……もう。竜、悪いけどわたしこの子と話をしなくちゃいけないから、先帰ってくれる?あとでメール入れるから」
「わかった。気を付けて帰れよ?」
「うん、またね」
久しぶりに聞く准の声。
あの頃は、ただただ煩わしかった声。
その声は今では少し懐かしいとともに、憎らしい。
「なにがあったか、教えてくれるかな?」
大通りから少し離れたところにある公園に入って、ベンチに座った。
「ごめんね、翼くん……」
「なによ、東城くんのことでいろいろ言っておきながら、しっかり彼氏作ってるじゃない」
ズキン...。
「彼氏じゃ……ない」