第二ボタンと春の風


私の歯車は止まったまま動かない。

君に言えないままじゃ、

明日に進めないよ。




「……っ、すき」


声に出してつぶやいてみた。

息が詰まる。

熱い涙が頬を流れる。


「好き、好きなの……!」




私の叫び声は、遠く空に飛んでいって、

ほどけて、溶けて、

雲と蒼に混じって消えた。


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