君色の空
そう思ったら、気持ちが少し楽になった。

そして、早苗のことも『非の打ち所』のない完璧な人だと思って、敬遠していた自分に笑えてくる。

『親友』と言いながら、早苗のことを理解しようとしなかったのは、私の方だったのかもしれない。

「ごめんね」

今回だけは、絶対に言いたくないと思っていた、その一言が素直に口から出た。

「アタシの方こそ、感情的になりすぎた。ナギのこと、ぶってゴメン」

早苗の長い指先が、私の頬に触れた。



< 106 / 230 >

この作品をシェア

pagetop