君色の空
『痛かったでしょ!?』

と、今にも泣きそうな顔で指先が頬をなでる。

そんな早苗を見つめて、

「私が、言い過ぎたから…」

そう言いながら、涙が頬を伝った。

それにつられたのか、とうとう早苗も涙を流して、二人でそれを拭った。

照れ笑いを浮かべて、『仲直りね!!』って言う頃には、日も傾きかけていた。

「三船さん、ごはんよー」

と、看護士さんが夕食を手に、何の前触れもなく現れた。

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