ライナーアンドザ・スカイ


俺は会長の横に座った。


「ピアス外しました。
あれ、姉のだったんです。
ピアスなんて俺のガラじゃないんですけど、元カノが『ペアリングよりもピアスがいい』って開けてくれて。
別れてから一回閉じそうになったので姉に借りてつけてました」



聴いてくれてるのか気になって、会長の顔を見た。

思い切り目が合って


「で?」


先を促される。


「ずっと一緒にいるって言ったのに、俺、元カノのこと好きじゃなくなっちゃって。
申し訳なくて、そのまま付き合うなんて失礼だって思った。
それで別れ話をしたら、元カノが『別れたくない』ってカッターを自分の手首に当てました。
本人は単なる脅しっていうか、本当はそんな気なかったらしいんです。別れ話を切り出されて咄嗟にそうしただけで。
だけど、本当に切れちゃって。
小さな傷で血はほとんど出なかった。
でもそれ以来俺怖くなったんです。
誰かとまた付き合ったりしても、また終りがきてこんなことが起こるんじゃないかって」





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