ライナーアンドザ・スカイ


「はい、とりあえずここまで。みんな動いて」


会長の合図で、役員は全員生徒会室を出て行った。


手伝えって、漫画読むだけか。

楽だけど、なんか凹むな……。


「秋山くん」


楽だけどつまらない。

役員みたいな仕事を任されても困るけど、任されたかったという気持ちも本当で。

第一これじゃあ会長と親交を深めるなんて出来ないよ。


「秋山くん?」

「あ、はい!」


顔を上げて振り返ると、会長が立っていた。


「そんなに真剣に読まなくていいからね?
チェックするだけなんだから」

「すみません……」


あ、敬語使っちゃった。


「お願いがあるの。園芸部行ってきてくれないかな。友達いるでしょ?」

「ああ、はい」


敬語……

無理だって、タメ口なんて。


「雨天時の対応とか希望とか聞いてきてくれる?決まってなければ急いで決めてって伝えて。
裏庭の整備条件に使用許可出したはいいけど、細かいところの連絡がまだだから」


椅子に座る俺を困ったように見下ろしている。

そんな世の男たちが守ってあげたくなるような顔も、いろんな奴に見せてんだろうな。


「ひ」

「え?」

「ひ……」

「………?」


やっぱ無理だ!!


「行ってきますっ」


生徒会室を飛び出した。



『陽南ちゃん』なんて恥ずかしすぎる!



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