セット・ボーイ・ムーン
感情を隠しながら、今日僕達は教官に引っ張られアキオカ区に向かった。アキオカはテロ組織が根を張る"畑"と言われ、軍との衝突が絶えない。
だが今日は、「一掃」の命が出た。僕と唖基と教官。たった三人だけの任務だった。
教官は綺麗な人だが怖い。笑ったらもっと綺麗なのに。唖基もきっとそう思っているだろう。
養成学校からお世話になって、僕達はそのまま教官が率いている隊に引き抜かれた。隊、といっても呼べる程人数がいるわけでもない。
少数精鋭だ、と教官は言う。その通り、教官が引き抜いてきた隊の人間達は恐ろしい程……何でもない。僕達もその一人、いや二人だからだ。