また恋をした、その時に。






隣から聞こえてきた低い声。

───小日向君だ。

僕の心臓はドキッと反応した。



   「な、なに?」

小日向君と目を合わせないように

左下、体育館の床を見つめる。


心美ちゃんと小日向君が
渡り廊下にいる所が
今でもハッキリと頭に浮かぶんだ。


心美ちゃんが
小日向君を追いかけて、

それで

小日向君が心美ちゃんの肩を持って

それから、それから───…

僕はそれ以上見ていられなくて

逃げちゃったんだ。


胸がぎゅうううっと苦しくなる。



「何じゃねーよ。
リク、勝つ気はあんの?」

ドンって壁を通して振動が伝わってきて。



< 163 / 368 >

この作品をシェア

pagetop