また恋をした、その時に。
隣から聞こえてきた低い声。
───小日向君だ。
僕の心臓はドキッと反応した。
「な、なに?」
小日向君と目を合わせないように
左下、体育館の床を見つめる。
心美ちゃんと小日向君が
渡り廊下にいる所が
今でもハッキリと頭に浮かぶんだ。
心美ちゃんが
小日向君を追いかけて、
それで
小日向君が心美ちゃんの肩を持って
それから、それから───…
僕はそれ以上見ていられなくて
逃げちゃったんだ。
胸がぎゅうううっと苦しくなる。
「何じゃねーよ。
リク、勝つ気はあんの?」
ドンって壁を通して振動が伝わってきて。