また恋をした、その時に。



隣に視線を移すと
小日向君が腕を組みながら
壁に寄り掛かっている。


   「あるよ。」


僕の答えを聞くと彼は短いため息をついてから言う。


「そんな風には見えないけどな。
まあ、いいや。
ここからが本題なんだけど。」




「………え……」


もはや
試合観戦どこれでは、なく。

悪い予感がして、嫌な汗が滲む。

さっきまで夢中で見ていた試合も

今は全然気にならないよ。





「俺、遠藤さんのこと
やっぱり諦められないから。

後悔しないように動くから……」



その言葉を聞いた
全身はドクン、ドクンと波打つ。

今、ハッキリと聞こえた。

調度
サーブを打つ直前だった試合、
静まっていたコートだったから。


小日向君が相手じゃ、
僕は・・・



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