また恋をした、その時に。



5、6秒の沈黙の後、
彼は絞り出すような声で
言葉を発する。


「……………わかった。
話、聞いてくれて嬉しいよ。
ごめん。泣くなって…」



優しく頭をポンポンするから

更に、目頭が熱くなってきて。



  “優しくしないで”

と何度も心の中で繰り返しながら

私は頭を思いきり左右に振る。


「違…う………
小日向は…悪くない…」


悪いのは私の方・・・


「遠藤さんの気持ちも
ちゃんと伝わったから…

俺は大丈夫…

………あ。リク。」


小日向の視線が
私から遠くの方へ向いて


私は振り返る─────…


その時だった。

彼がスッと私の隣を通り抜ける。


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