また恋をした、その時に。



小日向はリクに近づくと、
耳元で何かを言う。



「小日向、…ありがとう……!」

私は大きく息を吸ってから
私の精一杯の想いを伝えたんだ。



私の方に振り返った彼は

「リクに泣かされたら
俺ん所来いよ。………なんてな。」

そう言って
リクの頭をコツンと叩いてから

暗闇の中から光がある方。
話し声がする
皆の元へと走っていった。



  小日向の真っ直ぐな気持ちが

  私にしっかり届いたよ。


  本当にありがとう────。


「………心美ちゃん。」


足音と共に、リクの少し細い声。


「リク、もう帰ろっか?」



「うん。」


手を差し出すと、
彼はぎゅっと握り返してくれた。


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