____苺の季節____

夏祭りの願い事

放課後、部活までの時間は、鳴海と一緒にいようと決めてた。


部活の終わる時間が違うし、陸上部は近くの大学の体育館や練習場を借りる事がほとんどで会えなくなるから。


最初の頃は、学校に帰ってくるまで待ってたけど、夜8時過ぎたり、もっと遅かったりして一人で心細い時間を過ごしてた。


そして、会えたとしても学校からの帰り道は真逆で、「家まで送るよ」なんて言われても疲れてる鳴海に悪い気がして待つのはやめた。

だから、学校にいる間は、その時間を大切にしてるの。


あたし…、携帯持ってないから…、話しておきたい事話したかったし、聞いておきたい事聞きたかった。


ううん、ただ、手や腕に触れるだけでも良かったのかもしれない。


鳴海の温かさがあたしの【安心】だったから。


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