____苺の季節____
「鳴海?お母さんのお見舞い、また、今度の日曜日…行っていい?


この間、宿泊研修の写真見せますって約束したんだ、

あ、あと、あたしの楽器吹いてるとこの写真も見たいって言ってたから、中学ん時のコンクールの写真…持ってこうかなぁ」


テラスのベンチに腰掛けて、鳴海の肩に寄り添い話すあたし。


「ああ、きっと喜ぶよ、

母さんさ、女の子が欲しかったみてーだし、杏奈の事、娘が出来たみたいって喜んでた……、まぁ、俺の妹的ポジションだけどな」


「え~!妹?違う違う、違うって」


楽しそうにしてる鳴海の瞳は、最近、ふと、暗い影を映すから、あたしは少し心配だった。


「夏祭りのパレード、お母さん見に来れるかな?

あたしが先頭で吹くって言ったら、

【キャー、格好良いでしょうね!見たいわ、杏奈ちゃんの晴れ姿ね】って言ってたよ」


「ああ、調子良ければ外出届出すって張り切ってた」

「うん、あたし、頑張る、マーチング…ドリル演奏も何曲かやるんだ、


ドリル、ハードだけど格好良いよ!


1年生は初御披露目だからはりきっちゃう」


あたしも、ほんのちょっぴりテンションを上げる。
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