山賊眼鏡餅。
「沼袋先輩、そういえば、アネゴとは連絡取れたんですか?」

目黒さんが言った。


「ああ。山嵐ノゾミ君のことか」

口元に一瞬笑みを浮かべて、沼袋部長が言った。


「アリバイとか動機とか、何かありましたか?」


「彼女はシロだよ」


「どうしてですか?」


「心が清いからだ。人を襲ったりするような人ではなかった」


「金髪なのに!?」

目黒さんが言った。



目黒さんは、金髪に偏見があるようだ。



「見た目はギャルっぽいが、中身は清楚だよ。そのギャップが彼女の魅力だ」


「まさか、デートしたの?」

私が言うと、沼袋部長は、とたんにしどろもどろになって、手をばたばたさせた。


「な、な、何もしてない……それにだ、彼女はまだ足を骨折してる」


「あ」


山嵐ノゾミは、リスの落し穴事件で、足を骨折して、それで合宿も不参加だったのだ。


「真帆君と吉川ヨシオ君が襲われた日も、もちろん骨折していて、松葉杖なしで歩ける状態ではなかった」

沼袋部長は言った。



確かに、松葉杖をつきながら人を襲うのは無理がある。

山嵐ノゾミは、容疑者から外して良さそうだ。
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