山賊眼鏡餅。
「先輩!助けにきました!今行きます!」


目黒さんはそう言うと、勢い良く体を押し込んできた。



室内に飛び降りるつもりだったのだろう。



しかし、残念ながら、お尻が大きすぎた。



尻のみ外に取り残され、目黒さんは小窓にはまったまま、動けなくなってしまった。



「きゃー」

手足をばたつかせても、びくともしない。



「くそっ!おいらの窓に勝手にはまりやがって!」


オード卵が言う。


「目黒さん!なんでそんな態勢で窓を通ろうと思ったのよ!」


「間違えました」

目黒さんは恥ずかしそうに、空中で、伏し目がちになりながら言った。



「話を続けるね」

私は言った。


「めちゃくちゃだぜ」

オード卵はため息をついた。


「私が襲われたのは、恐らく目黒さんと間違えられたせい」


「はぁ!?」


「平田の家で、ミミさんが怪我したよね?」


「ああ。ミミから、なんとなく聞いたぜ」


「ミミさんに殴りかかったのは、私じゃなくて目黒さんです。ねっ、目黒さん」

「まあ、そうです……」

目黒さんが答える。


「あの日、目黒さんは、いつからいつまで平田の家にいたの?」


「早朝から翌日の昼前までです」


「そう……。目黒さんは、ミミさんが平田の家を訪れるずっと前からいた。あなたは、目黒さんを見ていないんです」


「ふん」

オード卵は不満げに鼻を鳴らした。


「多分、こっそりミミさんの後をつけていたんだよね」


「オイラはそんなことしない……」


「目黒さんの姿を見ていないあなたは、ミミに怪我をさせたのは私だと思い込んだ。それで襲ったんだね」
オード卵は赤い顔をして黙っている。
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