「REAL」―あるアイドルの告白―
デビュー前には、事務所の売り方をさんざん拒んだあたしは、デビューしてからは、一度も事務所に反発したことはなかった。

どうせなら、行けるところまで行ってやろうと。

「七瀬リオ」っていうアイドルが、どこまで上がっていけるのか、見極めてやろうと、そう思ってた。

シゴトと呼べるシゴトは、なんでもした。

水着になり、握手会をし、笑顔を振りまいて、あたしは無理やりにでも15歳のアイドルを演じて見せた。

全ては、あたしが「七瀬リオ」を、売り出すために。

そう、今やアイドル・七瀬リオのプロデューサーは、あたし自身だった。

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