【コラボ】碧きコ惑のミューゼ~黄昏の彼方~

さっきはお硬そうな軍人のような風貌の
男だったのに、今度は、軽薄な若者風が
来た。
何だ?
アルバイトか?
ノインは鼻でワラッた。
そして、鞭で打たれて引き裂かれたズボ
ンを、そっと引き裂いた。
長くて形の良い足の、太ももが露わにな
る。
投げ出していた足を、崩れた横すわりに
し、それが良く見えるようにする。
男はノインを目にすると、しっかり値踏
みするように、全身に嘗め回すような視
線を注いだ。

「イイ女だな。殺すのは惜しい」

言いながら、片手に銃を振り回す。
あの、物質X入りの、弾丸を込めた銃だ。
何だってわざわざ持ってきたんだろう。
あたま、悪いのか?
それとも、あたしを完全に拘束している
自信があるから?
ノインはその態度が物凄く頭にきた。
頭に来すぎて、逆に血の気が下がり、ス
ーッと冷静になっていくのがわかった。

「でもお仕事なんだよな。」

惜しそうに、ノインを見る。
「コレ、について知ってることを喋って
もらわないと、離してあげられない」
男はノインのすぐ目の前にしゃがみこんだ。
ズボンの裂け目を露骨に見て、ノインの、
縛られた両手に触れる。

「あ…痛っ」

ノインは呻く。
そして、上目遣いに男を見た。
「ねえ、助けて?」
相手の、薄いブルーの瞳を、じっと見つめ
る。
スケベそうな光が、その中にうごめきまく
っている。
男は舌なめずりした。


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