【コラボ】碧きコ惑のミューゼ~黄昏の彼方~
 
「私に何の用だ?」

ノインも訊きたいことだった。
撃て、とは言われたが、
死なないヒトを撃つ、訳だ。
意図がさっぱり分らない。
『試しに撃たせてもらえませんか??』
とか、訊きたいくらいだった。
けれど、
そのコトバは飲み込んだ。

「アルバイトなんだ。」

「アルバイト!?」

ベリルの目が、ちょっと困った。
さすがにアルバイトで自分を
襲ってきた人間はいなかったのだろう。

「お前は、人の命をアルバイトで
消すのか?」

命を消す。
そのコトバに、ゾクッっとした。
嫌な感覚。
今、
自分の背後で、何かが笑った。
そう感じて気が付いた。
もう、自分は既にこちら側にいるのだ。
一刻も早く、おシゴトを終わらせて
まともな世界に戻らないと。
また、引きずり込まれる。
もう、何かが誘惑してる。

「お金がいるんだ。」

ベリルは一瞬黙った。
驚いたのか、
攻撃する気を失くしたのか、
ノインを捕まえる手を緩めた。

「お前の名は?」

「ノイン・ツバクラ」

名乗って逃げ出した。
そして、ふと思い直して、
振り返った。
コレが何の銃なのか、
試しておいてもいいかもしれない。
そう思った。
懐から特殊な方の銃を出した。
甘く狙う。
どうせ避けられるのだ。
逃げるための時間を
無駄に使いたくない。
撃った。
当然のように、ベリルは、よけた。
弾は壁に当たって
バシュ
と、音を立てた。
バシュ?
ノインは首をひねった。
聞いたことのない、音だった。




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