光を背負う、僕ら。―第1楽章―
机を動かすことに関しては、あたしは極めて楽な方だった。



だって、一つ前の席に移動するだけだから。



その点、あたしとは正反対の席に移動する伸一と真奈は大変そうだ。



でもそんなことはお構いなしという感じに、二人は机を動かしながら親しげに喋っている。



その姿がなんだかうらやましくて……悲しくて。



あたしは二人の姿から目を逸した。



それと同時に、机の移動を済ませる。




…なぜだろう。



見るのが辛くて目を逸したはずなのに、気がつけばあたしは、再び伸一の姿を目で追っていた。



けどさっきと違うのは、見ているのが伸一だけということ。



真奈まで見てしまうと、とても辛くなる。



だから、伸一だけを真直ぐ見ていた。




どんどん遠ざかる、伸一の後ろ姿。



狭い教室だからそんなに距離は開いていないはずなのに、伸一の背中がとても小さく感じられた。




……バイバイ。




小さくなっていくその背中に、心の中でそう呟いた。



きっともう、話したり関わったりするなんてことない。



だって、同じ班になるまでがそうだったもん。



だから……バイバイ。

……伸一。





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