光を背負う、僕ら。―第1楽章―



きっとこれは、伸一君と喋ることが出来たから。



伸一君とあんなにまともに喋ったのは、いつ以来だっけ…。



一瞬瞼を伏せて。


思い出すのは、“あの頃”のこと。



そう。


伸一君と喋ることができた、“あの頃”――。



もう“あの頃”には戻れない。



そんなことは分かりきっている。



だけど、どうしても。


過去に縋りたいと思ってしまう自分がいる。



それがなんだか情けなくて、悲しかった……。


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