光を背負う、僕ら。―第1楽章―
だけどその後言葉を続けるお母さんの顔は、とても生き生きしていたんだ。




「…でもね、次第にピアノに惹かれていったの。繊細な音、ピアノが生み出す世界。ピアノの魅力すべてに惹かれたわ。だからこそ、練習に励んだ。上手くなろうって思った。コンクールにも出て、賞も取った。ピアノの先生にも才能を認められて、すべてが好調だったの。そんな時よ、ピアノの先生に東條学園のことを勧められたのわ。」




先生に、東條学園を勧められる…。



それはまるで、今日のあたしを再生しているみたいな話だった。



正確にいうと、あたしがお母さんの出来事を再生しているのかもしれないけれど。




「その頃から東條学園は、有名だったの。入学すれば音楽界にデビュー出来るほどの実力をつけられるとしてね。だけどその頃東條学園に入学するのは、初等部から入るのが一般的だった。途中から入ることも出来たけど、それは容易いことではなかった。年齢が上がるほど、特にね。そんな中での勧めは、かなりの悩みどころだった。」



「…おばあちゃんは、なんて言ったの?」




自分がお母さんにいろいろ言われているせいか、妙なところに気がいった。




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