光を背負う、僕ら。―第1楽章―
自分が演奏するわけじゃない。



だけど指揮者の人が指揮棒を持つ手を上げた時。



楽器を一斉に構えた時。



その緊張感はあたしを包み込んだ。



まるで自分が演奏するみたいな、緊張感が……。



よくわからないけど、すごくドキドキしていた。



その場の緊張感に、飲み込まれてしまったのかもしれない。



だけどそれ以上に、東條学園の人達が作る音楽というものを生で実感出来ることが、あたしの心を無性にドキドキさせていた。



そのドキドキ感が最高値に達した時、指揮棒が静かに動き出す――。




――♪~~♪♪~♪♪♪




奏で出す、無数の音。



あたしが大好きなフルートの音も、クラリネットの音も、すべての楽器が奏でる音は、違って聞こえた。



演奏をする楽器の中にはバイオリンなんかもある。



楽器の種類も、それらが奏で出す一つの演奏も、まるでプロのオーケストラをイメージさせるものばかり。




♪~♪~♪♪~♪♪♪♪




あたしが想像する以上にこの世界が上であることも、今はまだ遠い世界であることもわかっていた。



……はずなのに――。




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