光を背負う、僕ら。―第1楽章―
学校で小春ちゃんがピアノを弾いた時も、そうだった。



小春ちゃんはピアノを弾くと、オーラがガラリと変わる。



きりっとした顔立ちになって、物腰がとても大人びる。



もともと人より大人びた一面を持っている小春ちゃんだから、それがなお際立つんだ。



小春ちゃんはピアノを弾く時、きっと気持ちを素早く切り替ている。



だからあんなにもはっきりと、雰囲気が違って見えるんだ。




本当に小春ちゃんはすごいよね。



小春ちゃんのピアノは、とても魂がこもってるもん。



あたしはただ、気持ちをそのままぶつけちゃう演奏だから……。




拍手という波に囲まれている小春ちゃんは、一瞬にしてこの場の人気者になっていた。



そんな小春ちゃんは、舞台の上でスポットライトを浴びる本物のピアニストみたいだ。




……一歩。

また一歩、前へ進み始めた小春ちゃん。



あたしに背中を向けてどんどん先を進んでいく小春ちゃんの後ろ姿を、あたしは言い様のない複雑な気持ちで見ていた。





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