光を背負う、僕ら。―第1楽章―
苦労も辛さも、決してそれ一つで成り立っているとは思わない。
苦労があるあるから、その先には必ず結果が待ち侘びているわけで。
辛いと感じるのは、幸せという喜びを知っているからこそ気付くもの。
だったらどれだけ苦労して辛いと感じて、いつしか悲しみの淵に立ったとしても。
淵への入口があったように、必ずあるはずの出口を見つけ出せるはずなの…。
学園長からどんな言葉が返ってくるのだろうと想像するだけで、この上なく鼓動が速くなるのが分かった。
真っ直ぐ目線を合わせようと何度も試みるけれど上手く顔を見ることが出来なくて、さっきから何度も見ては逸らすことを繰り返している。
そうやってあたしが心の準備も出来ていないうちに、微かに学園長の唇が動くのを感じた。
だけど最初に学園長の口から出たのは言葉ではなく、穏やかな笑い声だった。