光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「…やっぱり君は、詩織さんに似ていて強いね」




柔らかな笑みと共に言われた言葉の意味を受け止めるのに、しばし時間がかかった。




あたしが、強い?


お母さんと、似ている?




自分が強いと思ったこともなければ人からそう言われたこともなく、学園長の言葉を素直に受け止めることが出来なかった。




「そんな…。 あたし、強くなど全くありません。
またピアノが弾きたいってことを母に言うことも出来ないぐらい弱虫ですから…。
それにまして、母と似ているなんて……」




あぁ、ダメだ。


また自分で弱気なことばかり言っている。




頭ではそう理解しているのに、口から出る言葉はどれも弱音ばかりだ。



本当はこんなこと、言いたくもないのに。



あたしの夢は、そんなか細い意志で目指しているわけじゃないのに。




「そんなことはない。君はそうやって自分を否定することを言うけれど、いつも言葉の裏には揺るがない意志を持っている」



「………」




学園長はあたしが曝け出せていない自分自身を見つめていて、弱気なあたしの背中を押してくれているみたいだった。



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