光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「ただいま。」




そう言いながら、お母さんがドアを開けてくれている間に中に入る。



スニーカーを脱ぎ、揃えてリビングへと向かう。



リビングに入ると薄黄色いソファーに鞄を置いて、洗面所に向かった。




髪の毛、ほどこうっと。




手を洗いながら、ふとそう思った。



手を洗い終わったあたしは、髪の毛を結んでいた二つのゴムをほどく。



ほどくと長い髪の毛がサラッと揺れた。



鏡の中に、髪の毛を結んでいないあたしが現われた。



幸い結んだあとは残っていない。



あたしはブラシで髪の毛をといた後、リビングに戻る。



するとお母さんが、リビングであたしを待ちわびていた。




「今日はプリントとかもらってきた?」




お母さんはあたしが帰ってくると、必ずこういったことを聞いてくる。



プリントとは、保護者向けに作られたりしたプリントのことだ。




「あったよ。」




頭の中に浮かぶのは、もちろんあのプリント。



さっきソファーに置いた鞄を開いた。




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