あなたのペット的生活


いつもみたいに私に命令してよ。


扇げでも、借りて来いでも、飲み物持って来いでも、何でもいいからなにか言ってよ。



私、そう言って貰わなきゃ、孝ちゃんがどうすれば笑うのかわかんない。

だけど孝ちゃんは私のほうなんて見ずにずっと本を眺めたままだ。



「なんもねーよ?それより、なんか用?」

目が合わないからか、孝ちゃんの言葉がなんだか冷たい気がする。


なんでだろう。

私、なんかした?



「えっと……これ、昨日借りてきたマンガ。昨日孝ちゃん家に来なかったから」

「あぁ……さんきゅ」


マンガを渡しても孝ちゃんは笑ってくれない。


いつもみたいに笑ってくれない。


なんで?


そう思ってると孝ちゃんがチラッとこちらを見た。





その目はいつもと違ってやっぱり冷たかった。


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