あなたのペット的生活
すぐそこの角を曲がればもう自分の家に着く。
そんな直前に孝ちゃんからの電話。
カテキョーないんだったらもっとゆっくり帰れたのに。
走ることなくゆっくり歩いて帰ってこれたのに。
そう思いながら、自然と唇が拗ねたように尖っていく。
仕方ないじゃん。
だって孝ちゃん用事なんだもん。
そう思うけど、やっぱりなんか納得できない。
が、そんなちっぽけな不服はある物を見てどこかに吹き飛んでしまった。
「……だれ?」
曲がり角を曲がると見えてきたのは、孝ちゃんの家の酒屋という看板と、中から楽しげに出てきた男女の姿。