あなたのペット的生活
孝ちゃんはひとくち口に含むと幸せそうに目を細めた。
「お前も食う?」
「へ?」
無遠慮に目の前まで差し出された溶けかけたバニラのアイス。
っていうか、これって……間接キス、だよね。
孝ちゃんは何も思ってないから平気なんだろうけど、私は気にして心臓がもたないよ。
ほら、今ですらバクバク鳴ってる。
「いらない?」
孝ちゃんが背を屈めて上目遣いで見てくる。
何、その技!
反則でしょーが!!
なんでいっつも俺様なのに、こういうときにそんな可愛いことすんのさ!
って無意識でしょーけど!!
「乃亜!早くしないと溶けっから!!」
「え??え??」
孝ちゃんが大きな声出すから驚いて、そのまま勢いでアイスを口に入れると冷たくて甘いバニラが口の中いっぱいに広がった。