あなたのペット的生活



でもね?私、変なんだ。




私に傷の痛みを教えてくれたのが孝ちゃんで嬉しいって思ってる。


変だよね。


普通傷ついたら悲しいのに、なのに、なんでか孝ちゃんに傷つけられるならいいって思ってしまってるんだ。



だけどね?やっぱり傷ついたら痛いから……だからかまえてしまうんだ。




「乃亜ちゃん、着替えておいでよ」

「は??」



突然かけられた言葉の意味を考えているといっちゃんはプッと吹き出した。



「どうせなら浴衣に着替えてさ、孝二を驚かしてやりなってこと」


「いっちゃん……」

「多分ばあちゃんに言えば出してくれると思うんだ。俺、ちょっと言ってくるから乃亜ちゃんはここでちーちゃん見てて」



「え?ちょっ!!」



引きとめようと伸ばした腕は虚しく空を切り、あっという間にいなくなったいっちゃんの振向きざまに見せたいたずらっ子のような笑みが脳裏に焼きついて離れなかった。



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