空になりたかった海
夕方まで猿沢とたわいのない話をして、登校日は無事に終わった。


「今日は、ちゃんと謝る」

と言う猿沢と別れて、私は学校を出た。



夕方というのに空は青く、まだ暑い。


門を曲がったところで、先を歩く見慣れた後ろ姿が目に入った。

テニスラケットを肩に下げて、のんびりと歩いている。



正彦だった。



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