空になりたかった海
「光さん、もしよかったら、住所教えてくれない?」


「へ?」


「実家でね、梨をつくっているのよ。今度、光さんにも送ってもらうからさ」



梨なら大歓迎だ。

後でメールに住所を書いて送信することにして、私たちは別れた。




窓を開けて手を振りながら去ってゆく車を、私はいつまでも見送っていた。




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