【大賞】六天ニ花雪ノ舞フ
耳をつんざく爆音の中で。

燃え上がる炎の中で。

彼――四谷晴興(よつやはるおき)の狂いかけた心の声は、絶叫となって迸っていた。

「う、ぅう、うああああああああっ!」

喉が、裂けんばかりに、痛む。

口内に広がる血の味は、錯覚か――……、
それとも、現実なのか。

彼の目の前で繰り広げられているもの。

それは、最早、戦いと呼べるような代物ではなかった。
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