【大賞】六天ニ花雪ノ舞フ
自分より一回り小さい紅耀の背に、赤子のように負われ、町を歩く。

全身をまだらに彩る血の緋色が嘘のように、痛みはなくて、自分の足で歩くこともできそうに思えたのだが、晴興のその案に、頑として首を縦に振らなかったのは、清花だ。

晴興も、思い詰めたように見つめられて、否やはなかった。

炎を避けて難を逃れてきた人々と、何度もすれ違う。

生気のない、瞳。

じりじりと、紅耀の踏み出す一歩ごとに、肌に迫る空気の温度が、高くなっていく。
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