泣いたら、泣くから。
「からかってなんかない」
姪は冷静に返す。
「嬉しかったよ。わたしを慰めようとしてくれたんだよね。……だけど、もう一度言ったら、わたしは純粋にその言葉を受け止められなくなる」
すると、姪の顔に暗い影が落ちた。
タオルを掴む手に力がこもったのを感じた。
「……純粋に受け止めるって、どういう意味?」
「どういうって……」
「姪が叔父を励ましてるとでも思った? 家族愛だとか勘違いしてない!?」
下を向いたまま姪は早口でまくし立てた。
姪の声には若干の怒気が含まれており、それでなくても困惑していたわたしはさらに混乱の渦に巻き込まれた。
姪はいったいなにを言いたいのか。
……いや。
言おうとしていたことなどわかっていたではないか――だから、それを止めるために口を開いたのではないか。
だが。
わかっていたからといって、今、わたしは姪になんと返事を返せばよい?
姪の言葉に込められた意味をどう受け取ればいいのだろうか。
そもそも、理解など出来ようはずもないのに。
返す言葉が思い浮かばず黙り込んでいるわたしを、姪は苦し紛れに笑った。
「そう、だよね。……私、姪だもんね。声上げてごめん」
そう言うと、姪は今までどうしても離さんとしていた手を、するりと抜いた。
わたしはほっと安堵の息をつき――ついたのもつかの間。
今度は逆に、姪はわたしの手に自らの手を重ねてきた。